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 BPMとワークフローの違い 



BPMとワークフローの違いについて, 訊かれることがあります。
定義は様々あると思いますが, BPMに15年ほど関わってきた経験から 以下のような定義が, 最もスッキリと説明ができるようです。



BPMは, PDCA / Plan Do Check Actionを廻して初めて成立する。 BPMは, Business Process Managementであり, マネージメントシステムであるので, スパイラル的な改善のフェーズが無くてはならない。
ワークフローは, BPMの 実行 / Do のフェーズを担当するものであり, 計画,計測や改善等の概念はない。つまりは, 決められた流れの通りに 仕事が進めば良いという範囲の概念になる。
どちらが良いとか悪いではなく, BPMはワークフローを包含する マネージメントシステムであると理解する。

 ワークフローと決裁の違い 



決裁には二つの意味があって, 民間会社が使う決裁。いわゆる稟議など。一般的に部下から上司に申請するものだけれど 特に決まりがあるわけではない。
官公庁で使う決裁。これは, 文書管理規程という規程によって, 決裁のルートが定められていて, それに沿って実施され, 文書として記録されなければならない。
いずれにせよ, 決裁は, 部下から上司へ, 部門から部門へ, 順繰りに流れていき, 問題があれば指し戻される, 最終的な承認を得るための一方通行のもの。
ワークフローは, クレーム処理や, 製造指示など, 上司から部下に流れるもの, 関係者の間をグルグル廻るものなど, 定められた業務の流れを 遂行するもので, 最終承認を得ることが目的ではない。
広義としてワークフローがあり, その中の一部分のものが決裁と呼ばれる。 明確な定義の違いがあるわけではなく, 決裁をワークフローと呼んでも (官公庁の場合「決裁」が用語なので, 少し違うけれど)かわまない。

ざっくりこんな定義で良いかと思っています。

 ワークフローとルールエンジンの違い 



ローン審査が、ワークフロー + ルールエンジンの定番となっていますが、 それぞれのツールを適用する部分は以下の通り。



ワークフローは、業務の流れ(フロー)を定義します。
例えば、図中で、「登録」の次に「支払」が来るのは、業務の流れです。
ルールエンジンは、ある結果を導き出す業務のルールを定義します。 例えば、「公務員なら300万円以上貸せる」などは、 業務のルールで、その結果として、貸し出せない/貸し出せるという 結果を導き出します。

ちょっと出た話題で、「検索とルールエンジンの何が違うんだ。 検索ボックスで、年齢 > 25、仕事 = 会社員 などと検索すれば同じじゃないか」 というのがありました。 これの明確な違いは、検索は知識がある人が実施しなければ結果が出ませんが、 ルールエンジンは条件を放り込んであげれば自動的に結果が出てきます。 ルールエンジンが人工知能の技術をベースにしているがゆえのことです。

 企業全体のインフラとして BPM / ワークフローを入れる意味 



企業全体のインフラとして BPM / ワークフローを入れる意味としては、 EAI (Enterprise Application Integration)的な意味が多大です。
企業の各システムを、データフロー系のツール (Appressoさんや、Infoteiaさん)や アダプター「だけ」で繋いでいくと、N 対 N の複雑な網が出来てしまい、 1つのシステムの入替を行うために、とてつもない労力が必要になります。



これを、あらかじめ BPM / ワークフロー (簡易ワークフローではなく、 本格的なワークフローエンジン) を入れて置くことによって、 データの正規化、データの依存関係、データの時系列の整理が実現されます。
このようにして構築されたシステムは、特定のパッケージを入れ替えたり した場合にも、他のシステムへ与える影響が少なく(かつ、明らかであり)、 短期でのシステム再構築が容易に可能になります。
BPM / ワークフローと各システムを接続する(図中の破線部分)には、 データフロー系ツールが 極めて有効です。